コンテンツにスキップ

荷電粒子の運動

電磁場中での荷電粒子の運動はローレンツ力によって支配されます。磁場のみの場合、粒子は磁力線に沿って螺旋軌道を描きます。この運動の特性周波数がサイクロトロン周波数、半径がラーモア半径です。

一様磁場中で粒子は磁場に垂直な面内で円運動を行います。サイクロトロン周波数は粒子の質量に反比例し、5 Tの磁場中では電子がイオンの約3700倍速く回転します。ラーモア半径は粒子の垂直速度に比例し磁場強度に反比例します。10 keV、5 Tのプラズマでは電子ラーモア半径が約0.05 mm、重水素イオンが約4 mm、3.5 MeVアルファ粒子は約5 cmとなります。

追加的な力や場の不均一性がある場合、粒子は力と磁場の両方に垂直な方向にドリフトします。E x Bドリフトは電荷や質量によらず全粒子が同方向に動き、電流を生じません。勾配Bドリフトと曲率ドリフトは電荷符号に依存し、電子とイオンが反対方向にドリフトするため電流が発生します。分極ドリフトは電場の時間変化に応答して生じ、質量に比例するためイオンが支配的です。

サイクロトロン運動する粒子は磁気モーメントを持ち、磁場がゆっくり変化する条件では近似的に保存されます。粒子が強磁場領域に移動すると垂直速度が増加し、平行速度が減少します。これが磁気ミラー効果の原理です。

磁場勾配に沿って粒子は弱磁場側へ押し戻す力を受けます。十分大きなピッチ角を持つ粒子は強磁場点で反射され、ミラー間に捕捉されます。トカマクでは内側で磁場が強く外側で弱いため、約77%の粒子が捕捉されバナナ型軌道を描きます。バナナ幅はラーモア半径の数倍に達し、新古典輸送を古典値より数十倍増大させます。

クーロン衝突により粒子のピッチ角は拡散的に変化します。10 keVのプラズマでは平均自由行程が数十kmに達し、弱衝突系となります。衝突周波数とバウンス周波数の比であるコリジョナリティにより輸送レジームが決まり、核融合プラズマのコアは通常バナナレジームにあります。

ラーモア半径が装置サイズより3-4桁小さいことが磁場閉じ込めを可能にします。純粋なトロイダル磁場では勾配Bドリフトと曲率ドリフトにより電荷分離が起き閉じ込めが破綻するため、トカマクではポロイダル磁場が不可欠です。サイクロトロン運動の理解は共鳴加熱や各種診断の基礎となっています。