トカマク方式
トカマクは、トーラス(ドーナツ形状)の真空容器内でプラズマを磁場によって閉じ込める装置です。1950年代にソ連で開発され、現在最も研究が進んでいる磁場閉じ込め方式です。
トカマクは2種類の磁場を組み合わせてプラズマを閉じ込めます。
トロイダル磁場はトーラスを取り囲むコイル(TFコイル)によって生成され、周方向に沿った磁場を形成します。ポロイダル磁場はプラズマ自体に流れる電流によって生成され、小断面を周回する磁場となります。このプラズマ電流は中心ソレノイド(CSコイル)の磁束変化によって誘導されます。
両磁場の合成により、磁力線はトーラス面上をらせん状に周回します。このらせん状磁力線が入れ子状の磁気面を形成し、プラズマの閉じ込めを実現します。
安全係数 q は磁力線がポロイダル方向に1周する間にトロイダル方向に何周するかを表し、MHD安定性を決定する重要なパラメータです。エッジの q 値は通常3以上に維持されます。
L モード(低閉じ込めモード)は基本的な運転状態です。H モード(高閉じ込めモード)は1982年にASDEXで発見され、加熱パワーが閾値を超えるとプラズマ周辺部に輸送障壁(ペデスタル)が形成されます。閉じ込め性能はLモードの約2倍に向上しますが、周期的なELM(周辺局在化モード)が発生します。大型ELMはダイバータに損傷を与えるため、共鳴磁場擾乱(RMP)などによる制御が研究されています。
ディスラプション
Section titled “ディスラプション”ディスラプションはプラズマ電流が急激に消失する現象です。密度限界、ベータ限界、q限界を超えると発生し得ます。熱的クエンチでエネルギーが急速に放出され、続く電流クエンチで大きな電磁力が構造物に作用します。緩和技術として、シャッタードペレットインジェクション(SPI)による不純物注入が研究されています。
オーミック加熱(ジュール加熱)だけでは核融合温度に到達できないため、補助加熱が必要です。中性粒子ビーム入射(NBI)は高エネルギー中性原子を入射してイオンを加熱します。イオンサイクロトロン加熱(ICRH)と電子サイクロトロン加熱(ECRH)は共鳴周波数の電磁波を用います。低域混成波(LHCD)は電流駆動にも利用されます。
ITERはフランスに建設中の世界最大のトカマクで、核融合出力500MW、Q値10以上を目指します。JT-60SAは日欧共同の超伝導トカマクで、2023年に初プラズマを達成しました。SPARCはMITとCFSが開発中のコンパクト高磁場トカマクで、高温超伝導体により12.2Tの磁場を実現し、Q値11以上を目指しています。
球状トカマクはアスペクト比が小さく(1.2-1.8)、高ベータ運転が可能です。英国のSTEP計画は球状トカマクによる発電実証を目指しています。
主な課題はディスラプション回避、定常運転の実現、ダイバータ熱負荷管理、材料の放射化対策、トリチウム自己増殖です。ITERでの燃焼プラズマ実証後、各国でDEMO(原型炉)の建設が計画されています。高温超伝導体を活用したコンパクトトカマクや民間企業の参入により、商用化への道筋が多様化しています。
- 閉じ込め方式: 概要 - 閉じ込め方式の全体像
- ステラレータ/ヘリカル方式 - プラズマ電流を使わない代替方式
- ITER プロジェクト - 世界最大のトカマク