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閉じ込め方式

核融合反応を持続させるためには、1億度を超える高温プラズマを容器壁に触れさせずに保持する必要があります。このセクションでは、主要な閉じ込め方式の原理と特徴を解説します。

核融合反応が十分な頻度で起こるためには、プラズマが以下の条件を満たす必要があります。

  1. 高い温度(イオン温度 Ti10T_i \sim 10 keV 以上)
  2. 高い密度(粒子数密度 n1020n \sim 10^{20} m3^{-3}
  3. 十分な閉じ込め時間(τE1\tau_E \sim 1 秒以上)

これらの条件は、ローソン条件として知られる核融合点火の指標にまとめられます。

nTτE>3×1021 keVs/m3n \cdot T \cdot \tau_E > 3 \times 10^{21} \text{ keV} \cdot \text{s} / \text{m}^3

プラズマ閉じ込めには大きく分けて3つのアプローチがあります。

磁場を用いて荷電粒子を閉じ込める方式です。荷電粒子は磁力線に巻きつくように運動(ラーマー運動)するため、適切な磁場配位を構成することでプラズマを保持できます。

ラーモア半径 rLr_L は次式で表されます。

rL=mvqBr_L = \frac{m v_\perp}{q B}

ここで mm は粒子質量、vv_\perp は磁場に垂直な速度成分、qq は電荷、BB は磁場強度です。

主な磁場閉じ込め装置:

燃料ペレットを強力なレーザーや粒子ビームで急速に圧縮・加熱し、燃料自身の慣性によって反応時間を確保する方式です。

詳細:慣性閉じ込め核融合

太陽などの恒星で実現されている方式です。巨大な質量による重力が高温プラズマを中心部に閉じ込めます。地上では実現不可能なため、研究対象外です。

磁場閉じ込めと慣性閉じ込めの比較

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特徴磁場閉じ込め慣性閉じ込め
密度1020\sim 10^{20} m3^{-3}1031\sim 10^{31} m3^{-3}
閉じ込め時間1\sim 1 s1011\sim 10^{-11} s
運転モード定常/準定常パルス
主要装置トカマク、ステラレータレーザー施設
発電炉への課題材料寿命、定常運転繰り返し率、効率

閉じ込め性能を評価する重要な指標として、プラズマ圧力と磁気圧力の比であるベータ値 β\beta があります。

β=nkBTB2/2μ0=2μ0nkBTB2\beta = \frac{n k_B T}{B^2 / 2\mu_0} = \frac{2\mu_0 n k_B T}{B^2}

ベータ値が高いほど、同じ磁場強度でより高い圧力のプラズマを閉じ込められるため、経済性に優れます。ただし、高ベータ領域では MHD 不安定性が発生しやすくなります。