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ステラレータ/ヘリカル方式

ステラレータは、外部磁気コイルのみでプラズマを閉じ込める磁場閉じ込め核融合装置です。1951年にライマン・スピッツァーが発明しました。日本では「ヘリカル装置」と呼ばれる変種が独自に発展しており、大型ヘリカル装置(LHD)が世界をリードしています。

単純なトーラス形状では、磁場勾配と曲率によるドリフトで荷電粒子が失われます。ステラレータはこの問題を、外部コイルの幾何学的配置で回転変換を生成することで解決します。回転変換とは、磁力線がトーラスを1周する間にポロイダル方向に進む角度のことです。

トカマクがプラズマ電流で回転変換を生成するのに対し、ステラレータは外部コイルのみを使用します。この違いにより、ステラレータは本質的に定常運転が可能で、プラズマ電流の急激な消失(ディスラプション)が原理的に発生しません。一方、コイル形状は三次元的で複雑になります。

主な配位として以下があります。

  • ヘリオトロン/トルサトロン: らせん状コイルを使用。LHD が代表例
  • モジュラーステラレータ: 個別の三次元コイルを使用。Wendelstein 7-X(W7-X)が代表例
  • ヘリアック: 磁気軸がらせん状にねじれた配位。TJ-II が代表例

ステラレータの三次元磁場は、捕捉粒子の異常輸送を引き起こす問題がありました。1980年代に発見された準対称性の概念により、この問題が解決されつつあります。

磁場強度が特定の対称性を持つと、粒子軌道が閉じて輸送が抑制されます。準軸対称(QA)、準ヘリカル対称(QH)、準等磁場(QI)などの配位があり、W7-X は QI 配位として設計されました。

Wendelstein 7-X(ドイツ)は世界最大の最適化ステラレータで、大半径 5.5m、磁場強度 3T です。2015年から運転を開始し、設計通りの閉じ込め性能を実証しています。

大型ヘリカル装置(日本)は世界最大のヘリカル装置で、大半径 3.9m、磁場強度 3T です。1998年から運転を開始し、1時間以上の連続プラズマ維持や重水素実験を達成しています。

HSX(米国)は準ヘリカル対称を世界で初めて実現した装置で、輸送改善を実験的に実証しました。

ステラレータコイルは複雑な三次元形状を高精度で製造する必要があります。W7-X では設計値から 1mm 以内の精度が要求されました。超伝導技術、高精度巻線治具、統計的品質管理などにより実現されています。高温超伝導体の進歩により、よりコンパクトで低コストな設計の可能性が開けています。

ステラレータは定常運転、ディスラプション不在、電流駆動不要という発電炉としての利点を持ちます。ドイツの HELIAS 概念や民間企業(Type One Energy 等)による商用化検討が進められています。課題はコイル製造コスト、閉じ込め性能の向上、三次元形状に適合するブランケット設計などです。