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超伝導コイル

核融合炉では 5-10 T 以上の強磁場が必要です。銅コイルでは数百 MW のジュール発熱が生じ、発電出力の大半を消費してしまうため、電気抵抗ゼロの超伝導コイルが不可欠です。超伝導状態の維持には 4 K 程度への冷却が必要ですが、冷凍に要する電力は常伝導コイルの 2-3 桁低い水準に抑えられます。

核融合では第二種超伝導体が使用され、高い上部臨界磁場を活用します。

NbTi は加工性に優れ低コストですが、臨界磁場が 11.5 T と低く、ITER の PF コイルなど低磁場部に使用されます。Nb3Sn は臨界磁場 25 T 程度で高磁場に対応しますが、脆性材料のため熱処理と歪み管理が必要です。ITER の TF・CS コイルに採用されています。

REBCO は臨界温度 92 K、不可逆磁場 100 T 超という特性を持ち、20 T 以上の高磁場で優位性を発揮します。現状ではコストが Nb3Sn の 50-100 倍ですが、MIT/CFS の SPARC プロジェクトが全面採用し、コンパクト核融合炉への適用が進んでいます。

TF コイルはトロイダル磁場を発生させ、D 字型形状により電磁力を張力のみで支持します。ITER では 18 基の Nb3Sn コイルで 11.8 T の最大磁場を発生し、蓄積エネルギーは 41 GJ に達します。向心力は 1 コイルあたり約 65 MN です。

PF コイルはプラズマの位置・形状を制御し、TF コイル外側に配置されます。最大磁場が 10 T 以下のため NbTi で対応可能です。

CS コイルは変圧器の一次巻線として機能し、磁束変化でプラズマ電流を誘導します。ITER では Nb3Sn 製、最大磁場 13 T で、約 400 秒のパルス運転を可能にします。

ケーブル・イン・コンジット導体

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大型コイルには CICC が広く採用されています。直径 0.5-1 mm の超伝導素線を多段撚りしてケーブルを形成し、ステンレス鋼コンジット内に収めます。隙間を超臨界ヘリウムが流れ、導体を 4.5 K に冷却します。

クエンチは超伝導状態が局所的に失われ、発熱が連鎖的に広がる現象です。蓄積エネルギーが局所に集中すると導体が損傷するため、早期検出と迅速なエネルギー放出が必要です。差動電圧法でクエンチを検出し、外部抵抗への放電やヒーター誘起による全体クエンチで最高温度を 150-200 K 以下に抑えます。

HTS コイルはクエンチ伝播が 1-10 mm/s と遅く、局所過熱のリスクが高いため、大きな運転マージンと高密度モニタリングが重要です。No-Insulation 技術では電流がターン間を迂回し、自己保護機能を持ちます。

4.5 K で 1 W を冷却するのに約 300 W の電力が必要です。ITER では 75 kW 相当の冷凍能力を持ち、約 25 MW の電力を消費します。熱負荷は輻射・伝導による静的負荷と、磁場変動時の交流損失や核発熱による動的負荷に分類されます。

HTS による高磁場化は装置の小型化を可能にします。磁場を 2 倍にすると核融合出力密度は 16 倍となり、SPARC は主半径 1.85 m で 12.2 T を達成し、ITER の約 1/3 の大きさで核融合出力を得ることを目指しています。今後は HTS コストの低減、クエンチ保護技術、放射線耐性の実証が課題です。