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民間核融合ベンチャー

2025年現在、世界の核融合スタートアップへの累計投資額は98億ドルを超えている。高温超伝導(HTS)技術の進歩、気候変動対策への投資意欲、そして民間企業の迅速な意思決定が、この急成長を支えている。

Commonwealth Fusion Systems(CFS): MIT発。累計調達額約30億ドル。HTS磁石で20 T超を実現し、実証炉SPARCで2025年後半の初プラズマを目指す。商用炉ARCは2030年代前半の運転開始予定。

TAE Technologies: 1998年設立の老舗。磁場反転配位(FRC)方式を採用し、最終的にはp-11B反応による中性子レス核融合を目指す。GoogleのAI技術でプラズマ制御を最適化。

Tokamak Energy: 英国拠点。球状トカマクとHTSの組み合わせで、2022年に民間初の1億度達成。次世代装置ST80-HTSは2026年稼働予定。

General Fusion: カナダ拠点。液体金属圧縮による磁化標的核融合(MTF)方式。英国カラム研究所に実証プラントLM26を建設中。

Helion Energy: パルス核融合と直接発電を組み合わせた独自方式。2023年にMicrosoftと電力購入契約を締結し、2028年からの電力供給を目指す。

First Light Fusion: 電磁ガンで弾丸を加速しターゲットを圧縮する衝撃点火方式。2022年に中性子発生を確認。

Zap Energy: シアードフロー安定化Z-ピンチ方式。複雑なマグネットシステムが不要でコスト削減に優位。

Type One Energy: 民間では珍しいステラレータ方式。HTSと準軸対称配位で定常運転を実現する商用炉Infinity Oneを構想。

京都フュージョニアリング: 京都大学発。核融合炉の周辺機器(ジャイロトロン、ブランケット、熱交換器)に特化。累計調達額約94億円で、CFS等に機器を納入。2025年に発電実証子会社を設立。

ヘリカルフュージョン: NIFS発。LHDの知見を活かした小型ヘリカル炉を開発。

エクスフュージョン: 大阪大学発。高繰り返しレーザーによる慣性閉じ込め核融合を開発。

2024-2025年の大型調達として、Pacific Fusionが9億ドル、CFSが8.63億ドル、Helionが4.25億ドルを調達。米国DOEのマイルストーン制度、英国STEP計画、日本のフュージョンエネルギー・イノベーション戦略など、各国政府も支援を強化している。

主要な技術的課題として、プラズマ閉じ込め性能の向上、中性子による材料損傷、トリチウム増殖の実証、定常運転の確立がある。経済面では太陽光・風力と競争できるLCOE達成が必要。規制面では核融合特有のリスクプロファイルを反映した枠組み整備が各国で進行中。

複数のアプローチが並行して進むことで、いずれかが成功する確率は高まっている。2030年代は核融合実用化の正念場となる。