将来展望
このセクションでは、核融合エネルギーの将来と商用化への道筋を探ります。
核融合発電の実現は、半世紀以上にわたる研究開発の集大成です。プラズマ物理学の理解が深まり、超伝導磁石技術が進歩し、材料科学が発展したことで、商用核融合炉の実現が現実味を帯びてきました。
核融合発電へのロードマップ
Section titled “核融合発電へのロードマップ”核融合発電の実用化は段階的に進められています。
- ITER:燃焼プラズマ実験の開始(2030年代)
- DEMO:実証炉(2040〜2050年代)
- 商用核融合発電所(2050年代以降)
ITER は核融合エネルギーの科学的・技術的実現可能性を実証する国際プロジェクトです。投入エネルギーの10倍の核融合出力(Q=10)を目指し、500 MW の核融合出力を達成する計画です。ITER で得られる知見は、次世代の実証炉 DEMO の設計に反映されます。
DEMO は発電実証炉として、実際に電力系統に電力を供給することを目指します。各国・地域が独自の DEMO 計画を進めており、日本、欧州、中国、韓国などが2040年代から2050年代の運転開始を目標としています。
民間セクターの取り組み
Section titled “民間セクターの取り組み”近年、民間企業の核融合開発への参入が活発化しています。多くの民間企業が代替アプローチを追求しています。
- Commonwealth Fusion Systems
- TAE Technologies
- Helion Energy
- Tokamak Energy
- General Fusion
民間参入の意義は、多様な技術アプローチの並行開発にあります。従来の政府主導プロジェクトがトカマク方式に集中する一方、民間企業は磁場反転配位や磁化標的核融合など、異なる閉じ込め方式を追求しています。この多様性は、技術的ブレイクスルーの可能性を広げます。
また、民間資本の流入により開発が加速しています。ベンチャーキャピタルや大企業からの投資により、2020年代には核融合スタートアップへの累計投資額が数十億ドル規模に達しました。この資金は、高温超伝導磁石などの要素技術開発や、コンパクトな実験装置の建設に活用されています。
従来のアプローチに加え、新しい技術概念の研究も進んでいます。
- HTS 磁石を用いたコンパクトトカマク
- 磁場反転配位(FRC)
- 磁化標的核融合
- プロトン-ホウ素(p-B11)核融合
高温超伝導(HTS)磁石は、より強力な磁場を小型の装置で生成することを可能にします。これにより、従来よりもコンパクトで経済的な核融合炉の設計が可能になると期待されています。