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核融合研究の歴史

核融合研究は、1920年のエディントンによる恒星エネルギー源の提唱に始まり、100年以上の歴史を持つ。

1920年、エディントンは恒星内部で水素がヘリウムに変換される過程がエネルギー源だと提唱した。1928年にガモフが量子トンネル効果を発見し、クーロン障壁の透過が理論的に説明された。1932年、コッククロフトとウォルトンが人工核変換に成功。1938年、ベーテがppチェーンとCNOサイクルを解明し、ノーベル物理学賞を受賞した。

1950年代初頭、米ソ英で独立に制御核融合研究が始まった。ソ連ではサハロフとタムがトカマクを考案。米国ではスピッツァーがステラレータを発明した。1952年のアイビー・マイク実験で初の熱核融合爆弾が成功。1958年の第2回ジュネーブ会議で研究が公開され、国際協力が始まった。

トカマクの優位性確立(1960-1980年代)

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1968年、ノボシビルスク会議でT-3トカマクの高性能が報告された。英国チームの独立検証により、トカマクの優位性が国際的に認められた。1980年代には米国TFTR、欧州JET、日本JT-60が競い合い、1997年にJETが核融合出力16 MWを達成。1982年にはASDEXでHモードが発見され、閉じ込め性能が飛躍的に向上した。

1985年のゴルバチョフ=レーガン会談でITER構想が提唱された。2007年にITER機構が設立され、7極35カ国以上が参加する人類史上最大の国際科学プロジェクトとなった。ITERは主半径6.2 m、核融合出力500 MW、Q値10以上を目標とし、2030年代の運転を予定している。

日欧共同のJT-60SAは2023年に初プラズマを達成。ドイツのW7-Xや日本のLHDでヘリカル/ステラレータ研究も継続している。

2022年12月、米国NIFが核融合点火を達成した。レーザー入力2.05 MJに対し3.15 MJの核融合出力を記録し、科学的実現可能性が実証された。

2010年代後半から、高温超伝導マグネット技術の進歩を背景に民間企業の参入が加速。Commonwealth Fusion Systems、TAE Technologies、Helion Energyなどが独自方式で開発を進め、累計投資額は98億ドルを超えた。日本でも京都フュージョニアリングがグローバル展開している。

2023年、日本政府は「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」を策定し、2050年代の実用化を目指している。