エネルギー問題と核融合
世界の一次エネルギー消費は2022年に約604 EJ(石油換算144億トン)に達し、その81.5%を化石燃料が占めている。発展途上国の経済成長に伴い、需要はさらに増加する見込みである。
化石燃料の限界
Section titled “化石燃料の限界”確認可採埋蔵量から算出した可採年数は、石油・天然ガスが約50年、石炭が約130年。非在来型資源を含めても100-200年で枯渇すると予測される。採掘コストは上昇傾向にあり、エネルギー収支率(EROI)も1930年代の100:1から現在は15-20:1まで低下した。資源は中東・ロシアに偏在し、地政学的リスクも大きい。
気候変動の脅威
Section titled “気候変動の脅威”大気中のCO2濃度は産業革命前の280 ppmから420 ppmに上昇し、地球の平均気温は約1.1度上昇した。2022年の世界CO2排出量は368億トンで過去最高を記録。1.5度目標達成には2050年頃のネットゼロが必要だが、2020年のコロナ禍でも排出削減は5.8%にとどまり、経済活動を維持しながらの削減は極めて困難である。
再生可能エネルギーの課題
Section titled “再生可能エネルギーの課題”太陽光・風力は間欠性があり、設備利用率は14-35%程度。大規模蓄電は技術的・経済的に課題が残る。電力密度は原子力の50-500分の1で、広大な土地を必要とする。また、リチウムやコバルトなど特定鉱物への依存も問題である。
核分裂発電の課題
Section titled “核分裂発電の課題”高レベル放射性廃棄物は数万年の管理が必要で、最終処分場はフィンランドのオンカロのみ稼働。チェルノブイリや福島の事故は甚大な影響を与えた。ウラン可採年数は約100年で、建設コストも高騰している。
核融合の優位性
Section titled “核融合の優位性”核融合燃料の重水素は海水に無尽蔵に存在し、世界中に均等分布する。エネルギー密度は石油の約800万倍。CO2を排出せず、高レベル放射性廃棄物も生成しない。プラズマ条件が変化すれば反応が自動停止するため、暴走事故は原理的に起こらない。天候に依存しない安定したベースロード電源として、再生可能エネルギーを補完できる。
Q値と発電コスト
Section titled “Q値と発電コスト”Q値(核融合出力/投入エネルギー)は、2022年にNIFが1.5を達成。ITERはQ=10を目標とし、商用炉にはQ=25-50程度が必要とされる。発電コストは50-100 $/MWhと予測され、高温超伝導磁石や量産効果による低減が期待される。CO2の社会的費用を考慮すれば、核融合の競争力は大きく向上する。