原型炉(DEMO)
原型炉(DEMO)は、ITER での科学的実証を経て、実際に発電・送電を行う次世代核融合装置です。核融合出力 2000-3000 MW、Q値 25-40、正味電気出力 300-500 MW を目標とし、トリチウム自給自足(TBR > 1.05)と 30-50% の稼働率達成を目指します。
各極の DEMO 計画
Section titled “各極の DEMO 計画”EU-DEMO(欧州)は EUROfusion が主導し、2051 年運転開始を目標としています。大半径 9.0 m、核融合出力 2000 MW の大型装置で、HCPB(ヘリウム冷却ペブルベッド)と WCLL(水冷却リチウム鉛)の 2 種類のブランケット概念を検討中です。
JA-DEMO(日本)は QST と NIFS が中心となり、2045 年頃の運転開始を目指しています。高いブートストラップ電流比(0.7-0.8)による定常運転を重視した設計で、JT-60SA や IFMIF-DONES など BA 活動施設との連携が特徴です。
CFETR(中国)は ASIPP が主導し、2035-40 年のフェーズ I 運転開始という最も早いスケジュールを示しています。フェーズ I で工学試験、フェーズ II で本格的な発電実証を行う 2 段階計画です。
K-DEMO(韓国)は高温超伝導(HTS)コイルの採用を前提とした設計で、2050 年以降の運転開始を目標としています。
主要技術課題
Section titled “主要技術課題”トリチウム自給自足は DEMO 最大の課題です。1 GW の核融合出力で年間約 56 kg のトリチウムを消費しますが、世界の供給量は約 25 kg に過ぎません。ブランケット内でリチウムと中性子の核反応によりトリチウムを生成し、TBR > 1.05 を達成する必要があります。
定常運転の実現には、ブートストラップ電流と外部電流駆動(NBI、ECCD、LHCD)の組み合わせで誘導なしにプラズマ電流を維持することが求められます。
ダイバータの熱負荷問題も深刻で、数十 MW/m2 に達する熱流束への対策として、デタッチメント運転や先進ダイバータ配位の開発が進められています。
材料は 50-100 dpa の中性子照射損傷に耐える必要があり、低放射化フェライト鋼(F82H、EUROFER97)や SiC/SiC 複合材料の開発が進行中です。IFMIF-DONES での照射試験が材料認定の鍵となります。
遠隔保守による機器交換も不可欠です。D-T 運転後の真空容器内は人間が立ち入れない高線量環境となるため、全ての炉内機器を遠隔操作で交換・保守する技術が必要です。
商用炉への道筋
Section titled “商用炉への道筋”DEMO での発電実証は、核融合エネルギーの信頼性を社会に示す決定的なマイルストーンです。2050-60 年代に複数の DEMO が稼働し発電実証に成功すれば、21 世紀後半には核融合発電が実用電源の一角を占める可能性があります。
2023 年以降、各国で核融合戦略が策定され、民間ベンチャーの参入も相次いでいます。公的プログラムと民間企業の両輪により、核融合エネルギーの早期実現への期待が高まっています。
- 民間核融合ベンチャー - スタートアップによる開発加速
- ITER プロジェクト - 国際協力による実験炉
- JT-60SA プロジェクト - 日欧共同の先進トカマク