燃料循環系
核融合炉の燃料循環系は、D-T 燃料をプラズマに供給し、未燃焼分を回収・精製して再利用するシステムである。
燃料サイクルの構成
Section titled “燃料サイクルの構成”燃料循環系は内部サイクルと外部サイクルに分類される。内部サイクルは燃料注入から未燃焼燃料の回収・再注入までの高速循環経路で、滞留時間は数分から数十分。外部サイクルはブランケットで生成されたトリチウムの精密処理経路で、滞留時間は数時間から数日である。
現在の設計では燃焼率は数 % 程度であり、大部分の燃料は未燃焼のまま排気される。1 GW の核融合出力では約 55.6 kg/年のトリチウムを消費し、燃焼率 5% の場合は 3 kg/日のトリチウム循環処理が必要となる。
燃料注入方式
Section titled “燃料注入方式”燃料注入には主に 3 つの方式がある。ガスパフは真空容器から燃料ガスを直接吹き込む単純な方法で、供給効率は 30-50%。ペレット入射は固体燃料を高速でプラズマに打ち込む方式で、供給効率は 80-95% と高く、プラズマ中心部への供給が可能。NBI は加熱が主目的だが燃料補給にも寄与する。
クライオポンプが主力で、極低温面へのガス凝縮により排気を行う。ヘリウムは沸点が 4.2 K と極めて低いため、活性炭吸着材を用いた特別な対策が必要。ITER では 8 台のクライオポンプを交互再生するバッチ方式を採用している。
トリチウム精製・貯蔵
Section titled “トリチウム精製・貯蔵”排気ガスからの燃料分離にはパラジウム拡散器が用いられ、水素同位体純度 99.99% 以上を達成する。同位体分離には深冷蒸留法(大規模処理向け)や TCAP(小規模処理向け)が使用される。
トリチウムは金属水素化物として貯蔵される。ITER では ZrCo 合金を使用し、総貯蔵容量は約 4 kg。トリチウムのベータ崩壊により年間約 5.5% がヘリウム-3 に変換されるため、定期的な再生処理が必要である。
トリチウム増殖と回収
Section titled “トリチウム増殖と回収”ブランケットでリチウムと中性子の反応によりトリチウムが生成される。自給自足運転には TBR(トリチウム増殖比)1.05 以上が必要。回収方式にはスイープガス法、液体金属からの透過回収、固体増殖材からの熱脱離がある。
トリチウムは低エネルギーベータ線を放出し、主な被ばく経路は吸入と経皮吸収である。施設では多重閉じ込めと負圧維持により漏洩を防止する。ITER では真空容器内トリチウム量を 700 g 以下に制限している。
DEMO 炉では数 kg/日の処理量、連続運転、TBR 1.05 以上が要求される。現在のトリチウム供給は主に CANDU 炉からの回収に依存しており、複数炉の同時起動には自給自足運転の確立が不可欠である。