ローソン条件
ローソン条件とは、核融合で正味のエネルギー利得を得るために、プラズマの密度と温度、そしてエネルギー閉じ込め時間が同時に満たすべき最低ラインを示した条件です。
やさしい定義(高校レベル)
Section titled “やさしい定義(高校レベル)”焚き火をイメージしてください。火をおこすには、燃料を十分に集め、十分に熱く、そして熱が逃げすぎないことが必要です。薪がまばらだったり、風で熱がすぐ奪われたりすると、火はつく前に消えてしまいます。核融合も同じで、燃料(プラズマ)が濃く、熱く、そして熱を長く保てて初めて、反応で生まれるエネルギーが逃げる熱を上回ります。この 3 つの条件をひとまとめにした「これだけあれば火がつく」という目安がローソン条件です。イギリスの物理学者 John Lawson が 1950 年代に導きました。
詳しい定義(学部レベル以上)
Section titled “詳しい定義(学部レベル以上)”ローソン条件(Lawson criterion)は、核融合反応で生まれるエネルギーが、プラズマから逃げる損失エネルギーを上回る条件として定式化されます。実用上は、密度 、温度 、エネルギー閉じ込め時間 の三つをかけ合わせた三重積(triple product) が指標として使われます。
重水素・三重水素(D-T)反応で最適な温度(およそ 10 〜 20 keV、約 1 億 〜 2 億度)の場合、点火に必要な三重積はおおよそ次の値になります。
これは、密度 (単位体積あたりの粒子数)、温度 、エネルギー閉じ込め時間 (熱が保たれる時間の目安)の積が、この値を超える必要があることを表します。密度が低ければ閉じ込め時間を長く、閉じ込め時間が短ければ密度を高く、というように、三つの量は互いに補い合う関係にあります。
核融合における役割
Section titled “核融合における役割”ローソン条件は、あらゆる核融合方式に共通する「合格ライン」として、装置の性能を測る物差しになります。磁場閉じ込めのトカマクは密度を抑えつつ閉じ込め時間を長く取り、慣性閉じ込めは極めて高い密度で短時間に反応を終わらせるというように、方式ごとに三重積を稼ぐ戦略が異なります。反応で生じるエネルギーだけでプラズマの温度が自律的に保たれる状態を点火(ignition)と呼び、ローソン条件はこの点火に到達できるかを判断する基準になります。