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安全係数

安全係数(safety factor、q)は、トーラス(ドーナツ形状)に閉じ込めたプラズマの磁力線が、どれだけゆるく、あるいは強くねじれているかを表す無次元量です。プラズマの安定性を決める重要な指標として使われます。

ドーナツ型の容器の中で、磁力線はまっすぐではなく、らせん状にぐるぐるとねじれながら回っています。安全係数は、この磁力線がドーナツの断面(小さな輪)を 1 周する間に、ドーナツ全体(大きな輪)を何周するかを表す数です。

たとえば安全係数が 3 なら、磁力線がドーナツ全体を 3 周する間に断面を 1 周する、というゆるいねじれ方です。この値が小さくねじれがきつくなりすぎると、プラズマが縄跳びのようにくねって暴れ出し、閉じ込めが壊れてしまいます。だから「安全」係数と呼ばれます。

詳しい定義(学部レベル以上)

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安全係数 q は、磁力線がトーラスを 1 周する間に進むトロイダル方向とポロイダル方向の回転数の比として定義されます。円形断面の単純なトカマクでは次のように表されます。

q=rBϕRBθq = \frac{r B_\phi}{R B_\theta}

ここで r は小半径(断面の半径)、R は大半径(ドーナツの中心までの距離)、BϕB_\phi はトロイダル磁場、BθB_\theta はポロイダル磁場です。すなわち安全係数は、トロイダル磁場とポロイダル磁場の強さの比に、装置のかたち(r と R の比)を掛けたものとして読めます。

安全係数は場所によって変わり、プラズマ中心から縁に向かってどう変化するかを表したものを q プロファイルと呼びます。縁での値 qaq_a が特に重要で、安定な運転を保つには一般に qa>2q_a > 2 が目安とされます。

安全係数はプラズマの MHD 安定性、とりわけキンク不安定性(磁力線がねじれてよじれる不安定性)を左右します。q が小さいほどねじれがきつく、キンク不安定性が起こりやすくなります。q が 1 を下回る領域があるとのこぎり波振動が発生し、q が整数や単純な分数になる面(有理面)では磁気島が生じやすくなります。安定に閉じ込めながら高い性能を得るには、q プロファイルをうまく制御することが核融合炉設計の要となります。

なお、記号が似ているエネルギー増倍率 Q(投入エネルギーに対する核融合出力の比)とは全く別の量です。安全係数 q は磁力線のねじれ、増倍率 Q は炉の性能を表すので混同しないよう注意してください。