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デバイ長

デバイ長(Debye length)は、プラズマ中に置かれた電荷の電場が、まわりの荷電粒子によって遮蔽され、影響がほとんど届かなくなる距離の目安です。プラズマがプラズマである条件を測る、もっとも基本的な長さのものさしです。

プラズマの中に正の電気を帯びた小さな玉を置くと、まわりを飛び回っていた電子が引き寄せられ、玉を包む「電子の雲」ができます。この雲が玉の電気を外から見えにくくするので、少し離れた場所からは玉の存在がほとんどわからなくなります。

この「電気の影響が届く距離」がデバイ長です。もし粒子が冷たくじっとしていれば雲はきっちり玉に張りついて電気を完全に打ち消しますが、実際の粒子は熱でたえず動き回っているため、雲はぼやけます。デバイ長は、電気で引き寄せる力と、熱でばらけようとする勢いのつり合いで決まる長さです。温度が高いほど長く、粒子が密なほど短くなります。

詳しい定義(学部レベル以上)

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プラズマ中の電荷まわりの電位は、真空のクーロンポテンシャルではなく、湯川型(遮蔽クーロン型)のポテンシャル

ϕ(r)=q4πε0rer/λD\phi(r) = \frac{q}{4\pi\varepsilon_0 r}\, e^{-r/\lambda_D}

に従います。指数関数 er/λDe^{-r/\lambda_D} が効いて、距離 rr がデバイ長 λD\lambda_D を超えると電位は急速にゼロへ近づきます。ここで qq は電荷、ε0\varepsilon_0 は真空の誘電率です。

デバイ長は、電子温度 TeT_e と電子密度 nen_e を用いて

λD=ε0kBTenee2\lambda_D = \sqrt{\frac{\varepsilon_0 k_B T_e}{n_e e^2}}

と書けます。ここで kBk_B はボルツマン定数、ee は素電荷です。分子に温度、分母に密度が来ており、温度が高いほど長く、密度が高いほど短いという直感と一致します。核融合プラズマ(温度 10 keV 程度、密度 1020 m310^{20}\ \text{m}^{-3} 程度)では、デバイ長はおよそ 70 マイクロメートルです。

デバイ長は、電離気体がプラズマとして振る舞うための定義条件そのものに関わります。プラズマであるためには、デバイ長が装置サイズ LL より十分小さいこと(λDL\lambda_D \ll L)が必要で、これによって系の大部分で電荷が遮蔽され、準中性(電子密度とイオン密度がほぼ等しい状態)が成立します。さらにデバイ球(半径 λD\lambda_D の球)の中に多数の粒子が入っていること(ND1N_D \gg 1)が、遮蔽が集団的に機能し、個々の 2 体衝突より集団効果が勝る条件になります。核融合プラズマはデバイ長が装置より 4 桁以上小さく、これらの条件を余裕をもって満たします。